【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

「その溜息は、名前を呼ぶ気になったってことでいい?」

愛川先生はぷっと吹き出すと、わたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。

「なんでそんな、上から目線なんですか?」
「え? だって、どう見たって俺方が上でしょ。住む場所も提供してるわけだし」
「提供って、騙して連れてきたくせに……」
「は? 今なんて……」

ぐいっと顔を覗き込まれて、慌てて愛川先生の肩を押さえた。

「はいはい、わかりました! 呼びます、呼べばいいんでしょ! でもだからって、わたしのことを懐柔したとか思わないでくださいね、真澄さんっ!!」

呼んだ、呼んでやった。

たった一言、名前を呼んだだけなのにやり切った感いっぱい。その反面恥ずかしさも半端なくて、顔は熱くなるし掌は汗でびっしょりだ。

でもここで照れた顔をするのは、わたしの中のちっぽけなプライドが許さない。これでどうだ!と言わんばかりに胸を張り、愛川先生を見据えた。

「まあ『さん』は余分だけど、今日のところは合格。これからは名前で呼ぶように。間違えたらその場ですぐに罰を与えるから、そのつもりで」
「罰……って」
「そうだなぁ。ここにキス、してもらおうか」

そう言って、愛川先生が指したのは自分の唇。



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