【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
もう限界かも……。
そう思った瞬間、愛川先生にされるがままになっていた唇が開放され、わたしは大きく息を吸い込む。しばらくは頭の中がホワンとしていて何も考えられなかったが、それがもとに戻り始めると急に怒りがこみ上げてきた。
「愛川……じゃなかった。真澄さん! こんなの話が違います!」
「だな。でも今はマジで時間がない。文句は帰ってから聞く、蘭子は出かけられる支度しておいて」
愛川先生はいまだ怒り冷めやらぬわたしの頭をぽんと撫でると、「行ってくる」部屋を出ていってしまった。
「……行ってらっしゃい」
なんだか、拍子抜けだ。
またもや勝手なキスをされて怒り心頭だった気持ちは、頭を撫でられたことによって鳴りを潜めた。
「真澄さん、支度しておけって。どこかに行くつもりなのかな」
ぼそっと呟き立ち上がると、まだ片付けが終わってないダイニングへと向かった。