終わりは始まりか ~私達の場合~
18
お父さんの葬式。

私は気持ちが付いて行かずに、その辺の準備はすべて伊吹が動いてくれた。

お母さんの時とは違って、今日は陽輝も参列させた。

でも私はただ陽輝を抱いて、茫然としているだけ。

それはまるでお母さんの葬式の時のお父さんのようだ。

会社の関係の人が次々とやって来て、その挨拶は無難にこなす。

その横に伊吹はそっといてくれた。

「美月、大丈夫か?」

「えっ?」

やっと反応を示した私に伊吹は優しく笑いかけた。

何とか一日が終わったようだ。

「いつも迷惑ばかりかけてごめんね。」

私は伊吹にそう言葉を掛けるので精一杯だった。

「美月。」

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