終わりは始まりか ~私達の場合~
伊吹がふっと遠くに視線を移す。

私も何となくそちらの方を見た。

「えっ、もしかして伊吹が連絡したの?」

そこには麻生くんが喪服を着て立っていた。

はあはあと息を切らせて、何とか間に合ったという様子の麻生くん。

「あいつにとっても親父さんは大切な人だっただろうし、親父さんもきっと耀太に来てほしいと思っていると感じてさ。」

伊吹が麻生くんに手を上げる。

「美月さん…。」

麻生くんは私に掛ける言葉に困っているように見えた。

「少し痩せた?」

私は何も考えられなくて、口から勝手にこぼれた言葉に心の中で苦笑する。

「あ…くっ、あ…くっ…。」

きっと麻生くんの名前を呼んでいるんだろう。

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