終わりは始まりか ~私達の場合~
陽輝が麻生くんに手を伸ばす。

「耀太、陽輝はお前の事をちゃんと覚えているようだな…」

伊吹はそう言うと、陽輝を私から取り上げた。

「先にお父さんと話をしてくるよ。」

麻生くんはそう言って、お父さんの写真の前に手を合わせにいった。

麻生くんの姿をからっぽな心で眺めるしかない私。

「俺が後は何とかするから、二人で話してこい。」

伊吹はそう言ってくれたけど…。

「麻生くん、仕事が大変でしょう。来てくれたのは嬉しいけど、また体調を崩してしまうといかないから、すぐにでも帰りなさい。」

私はきつく麻生くんに言った。

「美月さん…、俺…。」

「もう十分だよ。きっとお父さんもそう言うと思う。」

私のそんな態度に、伊吹が割って入った。

「美月、耀太にそんな言い方はないだろう。せっかく来てくれたのに。」

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