終わりは始まりか ~私達の場合~
そんな伊吹を麻生くんが制する。

「良いんです、伊吹さん。俺はお母さんの時といい、お父さんの時といい、美月さんの一番つらい時にそばに居られなかったんです。」

私の背けた横顔に、麻生くんは言った。

「その上過労で倒れるなんて、一番美月さんが嫌いそうな事なのに…。その節は迷惑をかけてすいませんでした。」

麻生くんは深々と頭を下げた。

「耀太、お前がそういうつもりなら、それでもいい。それなら俺は遠慮なくこの二人を守っていく。だから心配はしなくていい。」

すると陽輝が麻生くんの足音に駆け寄って、急に大泣きを始めた。

「あっ…くっ…。」

麻生くんはすっとしゃがんで、陽輝と目線を合わせた。

そして優しく陽輝の頭を撫でる。

「もう抱っこしてあげる事は出来ないんだ…。」

とても悲しそうに陽輝の顔を眺める麻生くん。

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