勇気の魔法は恋の始まり。
スケッチといっても雨脚は強くなるばかりで描ける景色も無い。

 その上、雨のせいか外は思ったよりも肌寒い。

 教室が湿気で暑かったので上着を着てこなかったが、それを少し後悔した。

 しかし、また教室に戻るのも面倒だったので、そのままスケッチブックを抱えて構内をぶらぶらと歩く。 

 廊下からふと窓の外を見ると、顔見知りの事務員が雨合羽を着て花壇の手入れをしている。

 こんな雨の日くらい休んでいいのでは無いかと思いつつ通り過ぎようとした時、複数の男子学生がその事務員に声を掛けた。
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