勇気の魔法は恋の始まり。
皆雨合羽や傘で雨を凌いでいるが、一人だけ友達の傘に入っている。

 この梅雨の時期に折り畳み傘も持っていないのだろうか。

 それぞれが花壇に向き合ったのを見ると、彼らは事務員に手伝いを申し出たようだ。

 その様子をみた水帆は再び足を進め始めた。


 しばらくぼうっと歩みを進めていると格技場へとたどり着いてしまった。

 美術棟からかなり離れているこの格技場は、いつもなら威勢の良い声で満ちている。

 だが今日は剣道サークルも活動がないのか妙な静かさだ。

 水帆は格技場の裏にピロティがあったのを思い出し足を向けた。
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