政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
愚かな私。勝手に彼に恋をして、勝手に舞い上がっていた。

彼は最初から私のことなんてなんとも思っていなかったのに。
私なんて選ぶはずないと知っていたのに。

一緒にいる時間が少しでも長くなったら私のことを見てくれる日が来るかもしれないって思ってしまった。

そんなことあるわけがないのに。彼の目には最初から赤名さんしか映していないのに。


恋に気づいた途端に失恋してしまった。

初恋は実らないとよく言うけれど、まったくもってその通りだ。私の本当の意味での初恋は彼だ。それだけでも感謝しなくてはいけない。


彼を好きになった。彼を好きになれた。それだけで十分だ。


言い聞かせるように何度も心の中で呟く。この恋がかなわないこと、彼の心は私のものにならないこと、そんなことは痛いほどわかっている。

それでも辛い。ほんの少しでも彼に想われたいと願わずにはいられない。

いつの間にか再び静かに流れだした涙。先程ひっかいてしまった傷に沁みこんで痛い。頭もズキズキ痛む。

でも本当に痛いのは私の身勝手な心。彼は本当に好きな人の傍に私が妻として居座っているせいで行けずにいる。
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