政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
仕事から帰宅した私は自室に向かう。
自室の中は真っ暗で静まり返っている。
私の足取りは重く食欲はわかない。バッグを肩にかけたまま、力なく私はソファに座り込んだ。
「どうしてこんなことになってしまったんだろう……」
吐き出した言葉に答えをくれる人はいない。こんな恋をしたいわけじゃなかった。好きな人の恋を邪魔する存在になりたくなんかなかった。
彼は十分私を大切にしてくれた。条件から解放してくれて、恋を教えてくれた。贅沢な暮らしもさせてくれた。
今度は私が彼の手を手放す番だ。
ふう、と細い息を吐く。頭に浮かぶのはたったひとつの決断。
震える手でバッグの中のスマートフォンに手を伸ばす。掴みたいのに手が震えてうまく掴めない。必死で自分を叱咤し、スマートフォンを手にする。
画面を開いて検索する。その画面はここ数日何度も開いて確認したもの。
必要な情報を手に入れた私はのろのろと立ち上がる。今日は一日コンタクトレンズを使っているせいか、目が乾く。ブラインドの隙間から見える月は悲しいくらいに輝いていた。
マンションを出て、通りでタクシーに乗った。
タクシーに設置されていた時計を見ると七時半前だった。
私はすっかり暗くなった外の景色をぼんやり眺めながら、区役所へと向かった。
事前に調べていた通り、今日は延長窓口のため欲しかった書類を手にすることができた。窓口で手続きについても尋ねることができた。
気分は全く高揚しないけれど、もらった書類袋を抱えて区役所の出口に向かう。ギュウッと手にした書類を握りしめる。
これを手に入れたのだからもう後にはひけない。この書類に記載して環さんに渡す。
そうしなけば彼は幸せになれない。
自室の中は真っ暗で静まり返っている。
私の足取りは重く食欲はわかない。バッグを肩にかけたまま、力なく私はソファに座り込んだ。
「どうしてこんなことになってしまったんだろう……」
吐き出した言葉に答えをくれる人はいない。こんな恋をしたいわけじゃなかった。好きな人の恋を邪魔する存在になりたくなんかなかった。
彼は十分私を大切にしてくれた。条件から解放してくれて、恋を教えてくれた。贅沢な暮らしもさせてくれた。
今度は私が彼の手を手放す番だ。
ふう、と細い息を吐く。頭に浮かぶのはたったひとつの決断。
震える手でバッグの中のスマートフォンに手を伸ばす。掴みたいのに手が震えてうまく掴めない。必死で自分を叱咤し、スマートフォンを手にする。
画面を開いて検索する。その画面はここ数日何度も開いて確認したもの。
必要な情報を手に入れた私はのろのろと立ち上がる。今日は一日コンタクトレンズを使っているせいか、目が乾く。ブラインドの隙間から見える月は悲しいくらいに輝いていた。
マンションを出て、通りでタクシーに乗った。
タクシーに設置されていた時計を見ると七時半前だった。
私はすっかり暗くなった外の景色をぼんやり眺めながら、区役所へと向かった。
事前に調べていた通り、今日は延長窓口のため欲しかった書類を手にすることができた。窓口で手続きについても尋ねることができた。
気分は全く高揚しないけれど、もらった書類袋を抱えて区役所の出口に向かう。ギュウッと手にした書類を握りしめる。
これを手に入れたのだからもう後にはひけない。この書類に記載して環さんに渡す。
そうしなけば彼は幸せになれない。