政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
「うん。最近はあまり詮索されなくなったんだけど……」

カツンと七センチメートルのパンプスのヒール音を響かせ、眞子が困ったように言う。

「おばあ様なりに心配されてるんだろうとは思うけどね」

彼女の言葉に黙り込む。

私を心配してくれているのだ、と年齢を重ねた今は思うようになった。年に数回実家に帰ると、祖母はとても嬉しそうに私を迎えてくれる。

仲の良い両親の穏やかな姿が羨ましい。長い時間を喧嘩もしつつ、寄り添って過ごせるということはとても幸せなことだ。

祖母が何度も私に見合い話をもってくるのはそういう幸せを早く見つけてほしいと願っているからだろう。けれどまだそれを素直に受け入れられない。

見合いを否定しているわけじゃない。
見合いはもちろんひとつの出会いだ。

だけど見合いを受け入れてしまうと、祖母にお膳立てされた道を歩くだけの人生を選んでいる気がするのだ。それだと十代の自分と今の自分は何も変わっていない。

隆と別れたことよりも見合いのことを気にしてしまう私は、やはり薄情だと思う。

「何かあったら言いなさいよ?」
会社のエントランスが見えてきた時、親友が心配そうな表情で言ってくれた。

「うん、ありがとう」
無理やり、強張った頬を動かして微笑む。

自業自得の別れなのにどうして心細さを感じているのかわからない。

ただ何かに縋りつきたくなる。

自分の今の気持ちがわからない。

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