政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
「う、そ……」

「嘘じゃない。複合施設の件はどうとでもなったんだ。彩乃に自分の条件のためだけに結婚するって思わせないために言っただけだ。お互いにメリットがあるように見せたかったから。俺の両親も彩乃のおばあ様もご両親も俺の本心を最初からご存知だ。俺が真実を彩乃に話すまで黙っていてもらったんだ」

彼の言葉に私はすぐに返事ができない。ヒュッと息を吸い込んだ。

先程、相良さんに言われたことを思い出す。
冷静に考えてみれば突然の結婚なのに彼のご両親も恋愛至上主義の私の両親もまったく反対しなかった。


「……わ、私があなたを好きにならなかったらどうしたの……?」


そんなことはあるはずないのに、意地悪く尋ねてしまう。

まさか私が彼を好きになることまで予測していたの?


「いつか絶対に好きにさせてみせるって思ってた。俺はもう彩乃を手離せないから。だから完璧に外堀を埋めようと決めていた」


しれっととんでもないことを言う。

何、その自信……。

どこまでも彼に踊らされていたようで悔しい。

「強引にしすぎたことは謝る。言葉足らずだったことも。だけど彩乃が誰かのものになるのは耐えられなかった。誰かに奪われることが恐かった。世の中にこんな恐怖があるなんて知らなかった。俺を愛してほしいって毎日願ったよ」

彼の端正な顔立ちがクシャリと歪む。その苦渋の表情に毒気が抜かれてしまう私も相当彼に溺れている。

思わず彼の頬に指で触れると、彼が私の指をそっと握った。


「ずっと忙しかったのは複合施設の件を早く片付けて策略結婚の条件ではなく、もう一回きちんとプロポーズしたかったからなんだ」
「……え?」


彼の言葉に目を瞠る。
< 132 / 157 >

この作品をシェア

pagetop