政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
ドキンドキンドキン。再び暴れ始めた鼓動。彼がくれた幸せな言葉が私の胸に沁みこんで、心を揺さぶる。


「それって……」


「策略じゃなく、彩乃と本当の夫婦になりたい。ずっと彩乃と一緒に生きていきたい」


はっきり言い切って彼が私の指先にキスをした。

指も心も痺れていく。胸が震えて言葉にならず、私の両眼から堰を切ったように涙が溢れ出す。


ああ、もうこの人には敵わない。どうしてこんなに私を想ってくれるの。


「俺と本当の夫婦に、家族になってもらえませんか?」


とびきりの色香を含ませて彼が甘く囁く。漆黒の瞳に滲む妖艶さから逃れられない。

そんな甘い言葉をくれるなんて、この人は本当に狡い。じわりと眦に涙が滲む。


「……私もあなたを愛しています。よろしくお願いします」


それだけ言うのが精一杯だった。胸がいっぱいで、もう言葉にならない。

彼は甘やかな笑みを浮かべて、優しく唇を啄んだ。何度も繰り返される甘いキスに頭が痺れる。


「誰よりも愛してる。……やっと俺のものになった」


コツンと彼が私と額を合わせた。私はとめどなく涙を流していた。大好きな人から受けた二度目のプロポーズはこの上なく私を幸せにした。


「可愛い顔が台無し」


困ったように笑んで、彼が私の涙を優しいキスで拭う。その度に私の体温は上昇してしまう。

「これからはいつでも俺にありのままの彩乃を見せて。敬語も遠慮もいらない」

嬉し涙を流す私に何度も彼はそう言う。真っ直ぐな彼の言葉を今はもう疑うことはない。
< 133 / 157 >

この作品をシェア

pagetop