政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
「あの、どうしてパーティーのことを黙っていたの?」

それはずっと私の心に重くのしかかっていたこと。

「……条件を完遂したからと彩乃に離れてほしくなかったし、可愛い妻をほかの男に見せたくなかった」

照れ隠しなのか、私から視線を逸らす彼が愛おしくて胸がいっぱいになる。

「……そんなことないのに」

環さんではあるまいし、私はモテない。過大評価はさておき、嫉妬してもらえることが嬉しいなんて私はおかしいだろうか。

「でもお役御免だからって、離婚届を取りに行ったよな?」

また墓穴を掘ってしまった。ここぞとばかりに漆黒の瞳に睨まれてしまう。そのうえ、長い指で鼻まで摘ままれてしまった。

うう、しばらくはこの件を繰り返し言われそう。でも暴走してしまったのは私だから仕方ない。

涙目になる私を見て彼がクスッと笑む。


「そんな可愛い顔して誘わない。襲うぞ?」


ぎょっと目を見開いて瞬きをする私に、彼が妖艶な眼差しを向ける。


「毎日毎日可愛い寝顔を見せられて、俺は我慢するのが大変だったんだ。自宅に彩乃がいて嬉しくて安心するのに、迂闊に触れられない。ずっとこうやって抱きしめたかった」


いつもの余裕な口調で、膝の上にいる私を彼はギュウッと抱きしめ直す。

突然の甘い告白に頭がついていかない。熱があるのかと思うくらいに身体が熱い。

もう、どうして急にそんなこと言うの⁉ なんて返事したらいいの?


「……毎日帰宅が遅かったのって……」


まさかそんなことはないだろうと思いながら、ゴクリと喉を鳴らして疑問を口にする。彼はニヤリと口角を上げて言う。


「忙しかったのは本当。でも長い時間一緒にいると自制心が崩壊しそうだったから」


照れもせず真顔で言い放つ旦那様には、もう敵う気がしない。私はパクパクと口を開いて俯いた。
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