政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
「その髪型、君に全然似合ってない」
「なっ……!」
言われた言葉に絶句して、目を限界に近いくらいに見開いてしまう。あからさまな言い方に顔が赤く染まる。
ほんの少し頭を下げて、スッと長い指で私の髪をひと房掬い上げる。
彼はあろうことか髪にそっと口づけた。
彼のさらりと艶やかな黒髪が揺れた。流れるような動作に声を出すことができなかった。
ドキン! 心臓が壊れそうな音を立てた。
「……綺麗な髪だな」
低く囁くような声には甘ささえ漂う。先程までの剣呑な声の主とは思えないほどに。
髪にはなんの神経も感情もないのに、私の顔にはみるみるうちに熱がこもり始める。
こんなことは初めてだった。
「ああ、でももう少し短いほうが梳きやすいな」
自身の口元近くで髪を掴んだまま、凄艶な微笑みを見せる。
夜色の綺麗な瞳に真正面から見据えられて、私の身体は金縛りにでもあってしまったかのように動けない。鼓動だけが忙しないリズムを刻む。
「……前髪ももう少し切れば?」
そう言って掴んでいた髪を解放する。
額にかかる私の前髪に躊躇いなく手を伸ばす。
吐息さえ届きそうな距離まで彼が近づく。
伏し目がちの目を縁取る睫毛が信じられないくらいに長い。その下の綺麗すぎる目に魅入られそうになる。
骨ばった指が額に触れた瞬間、ハッと我に返る。
「なっ……!」
言われた言葉に絶句して、目を限界に近いくらいに見開いてしまう。あからさまな言い方に顔が赤く染まる。
ほんの少し頭を下げて、スッと長い指で私の髪をひと房掬い上げる。
彼はあろうことか髪にそっと口づけた。
彼のさらりと艶やかな黒髪が揺れた。流れるような動作に声を出すことができなかった。
ドキン! 心臓が壊れそうな音を立てた。
「……綺麗な髪だな」
低く囁くような声には甘ささえ漂う。先程までの剣呑な声の主とは思えないほどに。
髪にはなんの神経も感情もないのに、私の顔にはみるみるうちに熱がこもり始める。
こんなことは初めてだった。
「ああ、でももう少し短いほうが梳きやすいな」
自身の口元近くで髪を掴んだまま、凄艶な微笑みを見せる。
夜色の綺麗な瞳に真正面から見据えられて、私の身体は金縛りにでもあってしまったかのように動けない。鼓動だけが忙しないリズムを刻む。
「……前髪ももう少し切れば?」
そう言って掴んでいた髪を解放する。
額にかかる私の前髪に躊躇いなく手を伸ばす。
吐息さえ届きそうな距離まで彼が近づく。
伏し目がちの目を縁取る睫毛が信じられないくらいに長い。その下の綺麗すぎる目に魅入られそうになる。
骨ばった指が額に触れた瞬間、ハッと我に返る。