政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
さらに私の行動次第では叔母にまで迷惑がかかってしまう。彼は暗にそのことを示唆しているのだ。

「まさか……最初からそのつもりだったの? 仕組んでいたの?」
盛大な自惚れと笑われるかもしれないけれど、確認せずにはいられない。

「さあ、どっちだと思う?」
彼は笑うことなく真剣な表情で私に問いかけた。けれど口の端がどこか楽しそうに上がっている。

私には答えられない。なぜか胸がズキリと痛んだ。まるで彼に否定してもらいたかったかのように。

自分は恋ができないと言いながら、誰かを求めてしまう私は本当にずるい。

「悪い話ではないと思うが? 君はおばあ様との条件をクリアできるし、今後そのことで悩む必要がなくなる。今の仕事は続けてくれてもいいし君の好きにすればいい」

それはその通りだ。
彼は引く手あまたの独身男性だ。梁川百貨店のイケメン御曹司。祖母も絶対に反対しない。

ただ私はそんな自分と分不相応な人の妻になりたいわけではない。そもそも政略結婚を望んでいない。

ひっそりと慎ましやかに、恋心はなくてもお互いを大切に尊重しながら暮らしたいだけだ。こんな雲上人のような人の妻になりたいわけじゃない。

何より間違いなくこの人はモテるだろう。結婚した途端に醜聞に悩みたくない。

「あなたはモテるでしょう? 恋人はいないのですか? 私は結婚相手に浮気されたくありません」

たとえ愛されなくても、条件をすり合わせた見合いだったとしてもそれは譲れない。後々面倒なことに巻き込まれたくないし、見当違いの相手に嫉妬もされたくない。
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