政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
「彩乃、悪いけどこれから外出の予定がある。帰りは赤名に送らせるから」
彼が慇懃な態度で私に言う。
「わかりました。あの、せっかくなので買い物をして帰りますので、送っていただかなくて結構です。失礼します」
なぜかこのふたりの傍にこれ以上いたくないと思った。小さく頭を下げて、踵を返す。
「鳴海様、よろしければご一緒いたします。お買い求めなさりたい商品を遠慮なく仰ってください」
赤名さんがドアを開けながら申し出てくれる。
私はできるだけ丁寧に彼女の申し出を断る。早くひとりになりたい。ふたりの物言わぬ視線が辛い。彼は何も言わなかった。
「気をつけて。また連絡する。婚約指輪は外すなよ」
指輪について念押しをして、彼は私を送り出した。
どうしてそんなに指輪にこだわるのかわからない。私の日頃の行いにそれほど信用がないのだろうか。
無意識に眉をひそめてしまった私を見て、赤名さんが口角を上げる。
「あれは専務の必死の独占欲の表れなんです」
エレベーターホールまで私に付き添ってくれた赤名さんが小さな声で囁いた。それから何事もなかったように綺麗なお辞儀をして送り出してくれた。
独占欲?
言われたことが納得できず、私はエレベーターの中で首を傾げる。
独占欲のはずがない。それは好きな人に対する気持ちのはず。彼と私の関係はそんな甘く優しいものではない。
現に彼はあんなにも不機嫌な表情をしている。赤名さんの意図がわからない。
指輪がはめられた左手が戒めのようでとても重たかった。
彼が慇懃な態度で私に言う。
「わかりました。あの、せっかくなので買い物をして帰りますので、送っていただかなくて結構です。失礼します」
なぜかこのふたりの傍にこれ以上いたくないと思った。小さく頭を下げて、踵を返す。
「鳴海様、よろしければご一緒いたします。お買い求めなさりたい商品を遠慮なく仰ってください」
赤名さんがドアを開けながら申し出てくれる。
私はできるだけ丁寧に彼女の申し出を断る。早くひとりになりたい。ふたりの物言わぬ視線が辛い。彼は何も言わなかった。
「気をつけて。また連絡する。婚約指輪は外すなよ」
指輪について念押しをして、彼は私を送り出した。
どうしてそんなに指輪にこだわるのかわからない。私の日頃の行いにそれほど信用がないのだろうか。
無意識に眉をひそめてしまった私を見て、赤名さんが口角を上げる。
「あれは専務の必死の独占欲の表れなんです」
エレベーターホールまで私に付き添ってくれた赤名さんが小さな声で囁いた。それから何事もなかったように綺麗なお辞儀をして送り出してくれた。
独占欲?
言われたことが納得できず、私はエレベーターの中で首を傾げる。
独占欲のはずがない。それは好きな人に対する気持ちのはず。彼と私の関係はそんな甘く優しいものではない。
現に彼はあんなにも不機嫌な表情をしている。赤名さんの意図がわからない。
指輪がはめられた左手が戒めのようでとても重たかった。