政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
「……やっと俺のものになった」
微かな呟きを私の耳が拾う。
「環、さん?」
聞き取った言葉に自信がもてず、眼前の彼の名前を呼ぶ。
もう一度言ってほしい、そう言おうとした時、唇に柔らかい感触が降ってきた。
彼とする初めてのキス。
心拍数が一気に上がる。
そっと私の唇を啄むように繰り返されるキスはとても優しい。
言葉だけではなく、唇からも大切にすると言われているかのように、彼は何度も私に優しいキスを落とす。
長い長い時間。最後に私の下唇を食み、彼が私の唇を離した時、私の顔はこの上もないくらいに真っ赤に染まっていた。
「……可愛い」
蕩けそうな甘い目で私の顔を覗き込んだ彼は、そっと私の額や瞼、眦にキスの雨を降らす。
その感触が優しくて、響く声が甘くて理由もなく泣きたくなる。
「絶対に離さない」
最後に聞こえた言葉を彼が本当に言ったのかどうか、降り注ぐキスの雨に意識がぼうっとなっていた私には自信がない。
入籍した途端、私の生活が激変した。
夫婦は一緒に暮らすものだろ、と彼の部屋に連れて行かれそうになるのをこんな時間だし、突然だから、と必死に理由を挙げて抵抗した。
下手をしたら明日にでも会社に報告しかねないと思って彼に念のため釘をさした。
『会社には言わないでくださいね? 時期が来たら自分から報告しますし、しばらくは旧姓のまま仕事をさせてください』
『わかった』
見惚れるほどの綺麗な笑顔。
彼にしてはすんなり了承してくれたと思ったら、とんでもない発言が降ってきた。
微かな呟きを私の耳が拾う。
「環、さん?」
聞き取った言葉に自信がもてず、眼前の彼の名前を呼ぶ。
もう一度言ってほしい、そう言おうとした時、唇に柔らかい感触が降ってきた。
彼とする初めてのキス。
心拍数が一気に上がる。
そっと私の唇を啄むように繰り返されるキスはとても優しい。
言葉だけではなく、唇からも大切にすると言われているかのように、彼は何度も私に優しいキスを落とす。
長い長い時間。最後に私の下唇を食み、彼が私の唇を離した時、私の顔はこの上もないくらいに真っ赤に染まっていた。
「……可愛い」
蕩けそうな甘い目で私の顔を覗き込んだ彼は、そっと私の額や瞼、眦にキスの雨を降らす。
その感触が優しくて、響く声が甘くて理由もなく泣きたくなる。
「絶対に離さない」
最後に聞こえた言葉を彼が本当に言ったのかどうか、降り注ぐキスの雨に意識がぼうっとなっていた私には自信がない。
入籍した途端、私の生活が激変した。
夫婦は一緒に暮らすものだろ、と彼の部屋に連れて行かれそうになるのをこんな時間だし、突然だから、と必死に理由を挙げて抵抗した。
下手をしたら明日にでも会社に報告しかねないと思って彼に念のため釘をさした。
『会社には言わないでくださいね? 時期が来たら自分から報告しますし、しばらくは旧姓のまま仕事をさせてください』
『わかった』
見惚れるほどの綺麗な笑顔。
彼にしてはすんなり了承してくれたと思ったら、とんでもない発言が降ってきた。