政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
「申し訳ありません。専務には私からきつく進言いたします。これはこの部屋の鍵です。彩乃さんに渡しそびれたそうです……本音は違うと思いますが」
苦々しい表情を浮かべて、彼女は私に銀色に光る鍵を渡してくれた。そこには可愛らしいリボンモチーフが付いていた。
「……そのモチーフもお部屋にご用意いたしました衣類等もすべて、専務が彩乃さんのために自ら選ばれたものです」
淡々と赤名さんが言う。
その言葉にどう返事をしていいかわからなくなる。私は手の平にある鍵をじっと見つめる。何も言わない私に赤名さんが小さく息を吐いた。
「差し出がましいこととは重々承知の上で言わせてください。専務は言葉数が少ないですし、傲慢で強引なところが多々ある方ですが、彩乃さんのことをとても大切に想われています。どうか専務をよろしくお願いいたします」
そう言って赤名さんは私に頭を下げた。
そのほんの一瞬、彼女の顔に苦渋の表情が見えた気がした。彼女の言葉は彼をよく知っている、そんな口ぶりにさえ聞こえた。
そんな風に考えるなんて私はどうかしている。胸の中に暗く、真っ黒なもやもやが拡がっていく気がした。
こんな気持ちは初めてで、自分が自分でなくなっていきそうで恐くなる。
どうしてこんなに苦しくなるの?
「赤名さんは環さんのことをよくご存じなんですね……」
無意識に口にしてしまってから、ハッとして口を押さえる。
思った以上に刺々しい自分の声に驚く。
私は何を言っているのだろう。まるで仲間外れにされた子どもみたい。こんなことを私が言う権利なんてないのに。
そんな私に赤名さんは気分を害した様子もなく、淡々と言う。
苦々しい表情を浮かべて、彼女は私に銀色に光る鍵を渡してくれた。そこには可愛らしいリボンモチーフが付いていた。
「……そのモチーフもお部屋にご用意いたしました衣類等もすべて、専務が彩乃さんのために自ら選ばれたものです」
淡々と赤名さんが言う。
その言葉にどう返事をしていいかわからなくなる。私は手の平にある鍵をじっと見つめる。何も言わない私に赤名さんが小さく息を吐いた。
「差し出がましいこととは重々承知の上で言わせてください。専務は言葉数が少ないですし、傲慢で強引なところが多々ある方ですが、彩乃さんのことをとても大切に想われています。どうか専務をよろしくお願いいたします」
そう言って赤名さんは私に頭を下げた。
そのほんの一瞬、彼女の顔に苦渋の表情が見えた気がした。彼女の言葉は彼をよく知っている、そんな口ぶりにさえ聞こえた。
そんな風に考えるなんて私はどうかしている。胸の中に暗く、真っ黒なもやもやが拡がっていく気がした。
こんな気持ちは初めてで、自分が自分でなくなっていきそうで恐くなる。
どうしてこんなに苦しくなるの?
「赤名さんは環さんのことをよくご存じなんですね……」
無意識に口にしてしまってから、ハッとして口を押さえる。
思った以上に刺々しい自分の声に驚く。
私は何を言っているのだろう。まるで仲間外れにされた子どもみたい。こんなことを私が言う権利なんてないのに。
そんな私に赤名さんは気分を害した様子もなく、淡々と言う。