一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「ありがとうメアリ。じゃあ案内するよ」
笑みを携えたユリウスに導かれるまま、メアリは外套を纏うと窓から屋敷を抜け出した。
ユリウスが話した通り、メアリたちは誰に見つかることもなく、無数の星が煌めく夜空だけに見守られながらフォンタナの街を歩く。
「こっちだ」
柔らかい声で促すユリウスは人目の少ない裏道へとメアリを連れて入った。
そうして歩き続けるに連れて、メアリは違和感を覚え始める。
(ユリウスの話し方も、微笑みも、いつもと変わらないのに、私を引く手だけが違う人みたい)
見つからないうちにと焦っているから強引なのか。
それだけではない気がしてならないけれど、その正体が判明しないうちにフォンタナの大滝へと辿り着いた。
ユリウスの目的地はこの大滝なのか。
訊ねようと口を開きかけたメアリだったが、ふとユリウスが横顔で振り返り「足元に気をつけて」と伝えたかと思うと、滝が落ちる崖沿いの細い脇道を降り始める。
手はいまだ繋がれているが、それはエスコートというには強引で、下方に近づくに連れてメアリの中の違和感は増していった。