一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
──ユリウスの私室には専用のバスルームがある。
長年不在だったにも関わらず部屋の隅まで清潔に保たれているのは優秀な使用人たちのおかげだ。
まずはと旅の汚れを落とし、新しい服に着替えたユリウスは、ヴラフォス帝国の紋章が入ったタイを締めると部屋を出た。
午後の陽が差し込む廊下を歩いていると、目的地である兄の部屋からクレイグが顔を出す。
「クレイグ、兄上は部屋に戻られているか?」
「それが、まだいらっしゃらないのです。疲れたと仰っていらしたので、中庭でお寛ぎかと思ったのですがお姿はなく……ああ、マグダ。ルシアン坊っちゃまを見なかったかな?」
マグダと呼ばれたのは、メイドをまとめているメイド長の女性だ。
クレイグと同じく、この宮殿では古株で、ユリウスの幼少期から働いている。
「ルシアン様なら湯浴みに行かれましたよ」
「そうかそうか。では、お上りになられましたらユリウス坊っちゃまにお声をかけに参りましょうか」
「ああ、お願いするよ」とユリウスが踵を返そうとした時、廊下の奥からロッテ小走りでやってきた。