一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


「うーん、さすがに限界かな」


濡れた藍色の髪をかきあげた人から、あまり女性らしくない低い声が発せられてメアリは「え?」と短い疑問の声を零した。

すると、美しい顔をしたその者はざばっと立ち上がる。


「ごめんね。僕、男なんだ」


証拠を突きつけるかのごとく、自らの裸体をメアリの前に晒した男性。

衝撃的な光景にメアリは言葉を失い、そして。


「き、きゃあああああああああ!!」


叫んだ。


「メアリ!!」


悲鳴が聞こえ、咄嗟に衝立を超えたユリウスが見たものは、驚き逃げ出そうと湯船から上がったメアリの姿。

ダークブラウンの瞳と、琥珀色の瞳が見つめ合うと、再び浴室内にメアリの絶叫が響き渡る。


「す、すまないっ」


謝罪しユリウスが慌てて目を逸らした直後、ロッテが急いでバスローブをメアリの肩からかけて覆った。

それと同時だったろうか。

ルシアンの身体がふらりと揺れて、水音をたてて湯に沈んだ。

反射的にメアリの体は動き、湯船に戻るとユリウスも駆けつける。

共に衣を濡らしながらルシアンを床の上に寝かせ、メアリは様子を伺った。


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