一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
──騒がしい浴室の事件から半刻ほど経ち、メアリは与えられた客室で何度も溜め息を吐いていた。
(ううっ、ユリウスに見られた……)
そろそろ魂まで抜けてしまいそうな勢いだが、何度長い息を吐いてもユリウスが自分の身体へと視線を下げ、頬を赤く染めた瞬間の映像が頭から離れない。
(せめて! 誰に見られても構わないくらいのナイスバディであれば! って、それでもユリウスに見られるのは恥ずかしい!)
衝撃的なことが起こって、メアリの思考がおかしな方向に行きかけた時、ドアがノックされた。
「メアリ様、ロッテです。お夕食をお持ちしました」
隔てた扉の向こうから明るい声が聞こえて、ふかふかの寝台に突っ伏していたメアリは背筋を正す。
「ど、どうぞ!」
「失礼致しまぁす!」
扉を開いたロッテは、食事を乗せた銀色のワゴンを押してテーブルの横につけた。
「あの、ユリウス、皇子は?」
ユリウスとはバスルームを出てから顔を合わせていない。
しかし恥ずかしさが健在の今、会いたいかと言われたら微妙なのだが、それでもルシアンがあれからどうなったのかも心配で訊ねると、ロッテは真っ白なテーブルクロスを広げて敷く。