一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


「適当なんてとんでもない! ユリウス様のご婚約者様なのですから、精一杯お世話させていただきます」

「こんっ!? え、それはもしかしてクレイグさんが?」

「はい、仰ってました!」


なんということだと、メアリは口を開けてしまう。

皇帝がイスベルに向かっているということは、少なくとも帝都にはアクアルーナの王女であるメアリを予定通りに攫うことができたことは知らされているのだろう。

だが、この宮殿の者はそのことを誰一人として知っているような素振りはない。

考えてみれば元々は帝都に向かう予定であり、ここでは休むのみだったはず。

ならばわざわざ前もって知らされていないのも頷けるのだが、果たして、まだ勘違いされていることをユリウスは知っているのか。

もし知っていて否定しないなら、宿で婚約者の振りをしていたくらいだ。

何か考えがあるかもと思い、メアリはあえて婚約者ではないとはロッテに伝えず、こそばゆい気持ちでシェフの作った温かな食事を味わった。




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