一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


「では、好きにせよ」

「お許しいただけるのですか?」


ユリウスが確認すると、皇帝は何を今更といった視線を向ける。


「モデストとの決闘を捨て、命がけで護ったほどなのだ。決意は固いのだろう」

「はい」

「ならば仕方あるまい。ただし、ヴラフォスの皇子であることは忘れるな。それを捨てることは許さぬ」

「もちろんです! ありがとうございます!」


皇帝の厳しい声に含まれた確かな絆に、ユリウスは表情を明るくし頭を下げた。

いまだ話が見えないメアリは、頭の上疑問符を浮かべるばかり。

そんなメアリの手を、ユリウスはそっと掴んで微笑んだ。


「行こう」

「え? あの、話がよくわからないんだけど!?」


戸惑うメアリと機嫌の良いユリウス。

二人の様子に、皇帝はそっと眦を下げた。


「メアリ王女、諸々、よろしく頼む」


諸々と言われてもメアリにはポプリのことしかわからないが、「はい!」と確かに返事をして、ユリウスに引っ張られながら廊下へと出る。


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