Jelly
投げやりな答えに、神長はなぜか満足そうに頷く。
「じゃあ俺はなんでこの業界に入ったと思う?」

「ええ……? だって神長は頭がすでにスパコンレベルじゃん。お前の能力をいちばん発揮できるのってこういう仕事じゃない?」

 そして今度は相槌すらなし。……なんだ?

「例えば。飯行くと同じもん頼んでもいつも俺の方が食べ終わるの早いよな。お前は『量が多すぎる』って言うけど、俺に対しては『神長は食べるのが早い』って言うよな」

「うん。……でもお前は実際食べるの早いもの。なに? 食べるの遅い言い訳するなってこと?」

「違う違う。そんなくだらない話をしてるんじゃない。お前さ、言ってて気付かない? 自分のことは周りの状況に左右されてるって考えるのに、他人に対しては性格や能力を基準に考えてものを言ってるってこと」

「……へ?」
 一瞬、思考が止まった。
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