Jelly
「成澤だったらクライアントにそれをなんて説明する? 途中までリリースしたシステムをゼロに戻すメリットの説明ができるか?

今まで何のために『クライアントに見える開発』をしてきたのかわからなくなる。今まで向こうに取らせていた時間も全て無駄になる。そこはどうやって納得させる」

 こっちのする作業工程のことばかりで、相手を説き伏せる方法なんて考えてもいなかった。もしかして、みんなが作り直しを言い出さない訳もここにあったのかもしれない。途端に冷や汗が噴き出した。

安藤さんが何かを言う気配はない。反応のなさが全員からの否定のように思えた。助けを求めて自然に視線が流れる。神長と目が合った。

「口出し失礼。昨晩、資料全般に目を通したのですが。正直、要件定義しきれていない部分がまだ隠れているように感じました。

次のリリースでまた変更が出る可能性は捨てきれないのではないでしょうか。現状でミーティングの時間もとらずにシステムを作り直すのは無謀でもあります。

その上ヒアリングする意思さえなくしたようにも見え、一方的で印象も悪い」
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