Jelly
☆おまけ
・-・・・ -・・- -・--

 改札を抜け、人ごみの間を縫うようにして階段を駆け上る。

 聴こえてくる馴染みの発車メロディーに顔を上げたところで、ホームが見えた。普段ほとんど座りっぱなしなだけに、もう息が切れている。完全に運動不足だ。

 あと少し。最後の力を振り絞り、もうすぐ電車に辿り着くと思ったとき。ほっとして吐き出した息と一緒に、左足からビーチサンダルがすっぽ抜けた。

「あ、ちょっと!」
 誰かにかけられたその言葉で思い出す。そういえば行き先、見てない!

「これ、三崎口までいきますよね?!」
 俺が慌てて振り返ると、髪を短く刈り込んだ、いかにも好青年風の男と目が合った。

「いや」
 一瞬電光掲示板に目を送って、その人ははっきりとそう答えた。

 少しして、後ろから扉が閉まる音が聞こえてきた。電車は緩やかにホームを離れていく。夏の匂いを含んだ風が、汗ばんだ肌に心地良かった。

「すみません」
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