総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
脳裏をよぎったのは
来る日も来る日もひとりぼっちで過ごす
少年時代の燐の姿だった。
もちろんこんなものは、俺の想像で。
そのとき燐がどんな姿でどんな表情だったのかなんて、わからない。
それでも。
「気にしないで。いつものやつだから」
「は?」
「相手の気を引くためになら、こうやって同情引くようなこと言うんだ。それが真実かどうかに関わらず、さらさらと口から出てくる。カワイソウって思われるの屈辱のクセに。そうやってかまってもらわないと、本当のオレには、なんにもないから。取り繕う」
「……ちがう」
「なにが」
「今のは同情を誘う作り話なんかじゃなくて。テメェの本音だろうが」
「だとしても。もうオレはキミから拒絶反応を示されてる」
「お前のこと、拒絶してるわけじゃない」
「いいよ、もう」