【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「お待たせしてすみませんでした」

「いや、急に来たのはこちらだから」

その会話の後、しばらく沈黙が続いた。

わたしから話をしなくてはいけないことはわかっているのに、何から伝えるべきなのか考えているうちに時間が過ぎていく。

そうこしているうちに、彼がすっと紙を取り出した。

それは新規の顧客に書いてもらう申込書だった。すでに記入は終えているようだ。

「これ、約束していたもの。不備がないか確認してくれる?」

「あ……はい」

でもどうして?

これまでは納得できる提案ができてないという理由でなかなか申し込みをしてもらえなかったのに、いったいどういうつもりなのだろうか。

もしかして、もうわたしからの話は聞きたくないってこと?

それまではわたしの仕事のやり方や、わたしの努力を認めてくれていた。

しかし遠まわしに「もうその必要はない」といわれているのだろうか?

今までの頑張りの代わりに、この契約だけはしてくれるということだろうか。

担当の交代を申し出ていていたのに、いざとなったらこんなふうに考えてしまうなんて、ぐちゃぐちゃの自分の気持ちをどうしていいのかわからない。

「これって、わたしからの提案はもう必要ないってことですか?」
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