【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「あ、あの……ありがとうございます。わざわざ選んでくださったんですね」


 こういった場合はサイズの合うもので、貸し出し可能なものを持ってくるのだと思っていた。緊急事態なのだから似合う、似合わないは二の次のはずだ。

 わたしのことを思って選んでくれたなんて、ちょっと感激だ。

「はい。こちらの失態でご迷惑をおかけしたのですから。少しでも気分がよくなってくださるように、僭越ながら私が選ばせていただきました」

 彼の言葉に、それまでふわふわしていた気持ちがシュンとしぼむ。

 もう、変に期待したらダメでしょう!

 自分で自分を叱りつけた。恋愛経験があまりないからって、こんなプロのサービスを勘違いしてしまうなんて。

 恥ずかしさでいたたまれなくなってしまい、ごまかすように靴を履いた。

「ありがとうございます。では……わたしはこれで」

 荷物を持ち歩き出そうとしたわたしの腕を、神永さんが掴んだ。

「え?」

「あっ……失礼いたしました」

 手はすぐに離されたけれど、腕に神永さんの手の感触が残っている。なんてことないことなのに、わたしどうしちゃったんだろう。

 完全に彼を意識してしまっている自分に戸惑いながら、彼の顔を見る。

 えっ……。

 何かを窺うような彼の目に一瞬にして捉えられた。
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