【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「あの、申し訳ありませんでした」
雰囲気に飲まれ、頭を下げる。
「何を謝っているんですか? あなたは時間に遅れたわけではありませんから謝る必要などないですよ」
たしかにそうだ。けれどいつもの神永さんの柔和な雰囲気が全く感じられない。彼の顔がまともに見られずに、視線を床に落とす。
「それとも――私があなたが来るのを楽しみに待っていたのに、他の男の話に夢中になったことですか?」
「えっ?」
びっくりして、思わず顔を上げる。神永さんの顔は相変わらず不機嫌そうだ。
もしかして、またわたしをからかうつもり?でも真剣な顔している……もしかして本気なの?
またもや激しく混乱してしまう。
一体彼は、わたしをどうしたいの?
お互い言葉もなく見つめ合う。彼の視線から何かを感じとろうとするけれど、余計に頭の中の疑問が大きくなるばかりだ。