【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
やった! これで課長からも芽衣子さんからも突っつかれなくてすむ。

 あ、でも……。

「あの、わたしまだひとつも神永さんに、商品のご提案してませんよね?」

「えぇ。でも私はあなたという人に資産の一部をお預けしたいと思っております。いけませんか?」

 いけないことはない。わたし自身を信頼して大切な資産をお預けいただけるなんてうれしい限りだ。

「ありがとうございます。まさか……そんなふうに言っていただけるなんて」

 感激で思わず胸の前で手を組む。神様はちゃんとわたしの努力を見てくださっていたのだ。

「ただ……」

「えっ……何か心配ごとでも?」

 神永さんの声のトーンが一気に下がった。視線を床に落とし何か思案している。

「私のお願いをひとつ聞いていただきたいのです。今とても困っていることがありまして」

 何でもできそうな彼がこんなふうに悩むなんて。一大事に違いない。

 契約をもらえるという言葉でテンションがあがってしまっていたわたしは、大きなことを言う。
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