【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「わたしにできることなら、何でも言ってください。できる限りのことはします」

 親切心から出た言葉だった。それにこんなに大きな契約をしてくださるのだ。少しくらいの頼み事聞いてもいいと思った。

 しかしこの安易な自分の言葉をすぐに後悔することになる。

「そうですか、あぁ。よかった! だったらすぐにドレスに着替えましょう」

「ド、ドレス?」

「坂上くーん、例の奴持ってきて」

 神永さんが声をかけると数秒で坂上さんが現れた。それも手には真っ白なウエディングドレスを持っている。

「尾関様、ありがとうございます。さあ、こちらへ」

 促されも「はい、わかりました!」とはいかない。ちゃんと事情を聞かなくては。

「あの、一体どういうことなんですか? なんでウエディングドレス?」

「え? それは模擬挙式の花嫁をしてもらうんだから、ウエディングドレスを着るのは当たり前でしょう?」

 坂上さんの言葉にわたしは声を上げる。

「模擬挙式!? 花嫁!?」

 突然のことに驚き、目を白黒させることしかできない。そんなわたしの様子を見て坂上さんが神永さんを見る。

「社長、きちんとお話されていないんですか? ……っと」
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