【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「緊張していますか?」
コクンと小さくうなずく。まさか自分が人前で新婦役を演じることになるなんて思ってもみなかった。
「まだ手順に自信がなくて」
想像するとまた緊張が襲ってきて、目を伏せる。そのとき肩に置かれた彼の手にほんの少し力が加わった。それはまるで「大丈夫だよ」と勇気づけてくれているみたいだだった。
「今日は……模擬挙式ですけど。でも結婚式というのは新郎と新婦がふたりで愛を誓うものです。けっしてひとりでは成り立ちません」
穏やかで、少し低めの神永さんの声が耳に響く。なぜだかそれまでそわそわしていた気持ちが凪いていく。
「だから、あなたひとりで緊張しなくても大丈夫です。私がついていますから。今日、これからは私があなたの夫です。だからしっかりわたしの手を握って。ついてきてください」
伏せていた視線を上げると、鏡越しにわたしを見つめる神永さんがいた。
こんなことになったのは、彼のせいなのに。それなのに彼が、一緒だと思うと心強くなった。
緊張は全部解けたとは言えない。けれど、彼のために役に立てればと思った。
ここまできたのだから、やるしかない。「では、まいりましょうか? 私の花嫁さん」
にっこりと笑った神永さんが差し出した手に、白いグローブをつけた自分の手を差し出す。
「よろしくお願いします」
「素敵な式にしましょうね」
まるで本物の式でもするかのような言い方だ。わたしは「はい」とうなずくと、彼にエスコートされるがまま会場に向かった。
コクンと小さくうなずく。まさか自分が人前で新婦役を演じることになるなんて思ってもみなかった。
「まだ手順に自信がなくて」
想像するとまた緊張が襲ってきて、目を伏せる。そのとき肩に置かれた彼の手にほんの少し力が加わった。それはまるで「大丈夫だよ」と勇気づけてくれているみたいだだった。
「今日は……模擬挙式ですけど。でも結婚式というのは新郎と新婦がふたりで愛を誓うものです。けっしてひとりでは成り立ちません」
穏やかで、少し低めの神永さんの声が耳に響く。なぜだかそれまでそわそわしていた気持ちが凪いていく。
「だから、あなたひとりで緊張しなくても大丈夫です。私がついていますから。今日、これからは私があなたの夫です。だからしっかりわたしの手を握って。ついてきてください」
伏せていた視線を上げると、鏡越しにわたしを見つめる神永さんがいた。
こんなことになったのは、彼のせいなのに。それなのに彼が、一緒だと思うと心強くなった。
緊張は全部解けたとは言えない。けれど、彼のために役に立てればと思った。
ここまできたのだから、やるしかない。「では、まいりましょうか? 私の花嫁さん」
にっこりと笑った神永さんが差し出した手に、白いグローブをつけた自分の手を差し出す。
「よろしくお願いします」
「素敵な式にしましょうね」
まるで本物の式でもするかのような言い方だ。わたしは「はい」とうなずくと、彼にエスコートされるがまま会場に向かった。