【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「新婦、あなたも誓いますか?」

 実際にあんなふうに見つめられて、愛を誓われたらうれしいだろうな。

 いつかわたしもこんなふうに……いやだ、こんなときにわたしったら。

 胸のドキドキを抑えようと手で心臓を抑えた。

「新婦、どうしましたか?」

「へ?」

 気が付けば神父さんと、神永さんがわたしの顔を覗き込んでいる。

「あ。え? あ! ち、誓います!」

 慌てて返事をすると、神父さんはやれやれと言った様子で会場に視線を移した。

「ここに、ふたりが夫婦であると宣言します」

 はぁ……あぶない、あぶない。このすぐに色々考えちゃう癖どうにかしないと。

 ふと視線を感じて隣を見る。神永さんが目を細めてわたしの方を見ていた。

 もしかして、失敗しちゃったから怒っている?

 パイプオルガンの幻想的な音色が流れるなか、聖歌隊が歌を唄っている。その隙にと神永さんが小声でわたしに話しかけてきた。

「さきほど、どうしてすぐに誓わなかったのですか?」

「え? あれはその……」

 神永さんの凛々しさに、ドキドキして色々妄想していました。なんてもちろん言えない。

 しどろもどろになるしかなく、じっと見つめてくる神永さんの視線に耐えきれずに目を泳がせていた。
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