【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
神永さんの契約はとれなかたけれど、代わりに坂上さんとのお付き合いが始まった。
ほくほくしながらアイアンゲートを抜けると、すっと一台のブルーの国産高級車が止まる。
驚いていると、助手席のウィンドウが下がって中から神永さんが顔を覗かせた。
「尾関さん、よかったら乗っていきませんか?」
「え、あ、大丈夫です。駅もすぐそこですから」
「そっか、残念です。急にアポイントがキャンセルになったので、食事でもしながらお話をしたかったんですが――」
「行きます!」
神永さんの言葉にすぐに食いついた。そんなわたしを見て、神永さんは口元に手を当ててクスクスと笑っている。
そんなに、笑わなくてもいいじゃない。
必死だと思われて恥ずかしい。(でも実際必死なんだけど)
「では、どうぞ」
わざわざ運転席から降りてドアを開けてくれる。こんなふうな扱いに慣れていないので、戸惑いながら彼の車に乗り込んだ。