【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「そんな調子で証券会社の営業なんて勤まりますか? なんだか心配ですね」

「それは大丈夫です! 何の心配もいりません」

まさかここまできて、契約しないなんて言うの? 

三回も提案を受けいれてもらえていないのだから、そう思われても仕方のないことなのかもしれない。

「あのたしかに、何度がご提案させていただいた商品に魅力を感じてもらえなかったというのは認めます。ただ――」

「いや、いや。誤解しないで」

「え?」

前のめりに必死になって話をしていたのを止められた。

ちょうどそのタイミングで、食前酒が運ばれてきた。

「ミモザをお持ちしました」

神永さんがわたしの方へ置くようにと、視線を促した。

「お酒大丈夫だったよね? 結婚式のときはシャンパンを美味しそうに飲んでいたから」

ウエイターがわたしの方へ差し出し、神永さんの方へペリエを置いた。

「あの……わたしもお水で」

「気にしなくていいから。ほら、乾杯しよう」

これ以上断るのも失礼だと思い、わたしはシャンパングラスに入ったオレンジ色のカクテルを手に取った。
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