家庭訪問は恋の始まり
「夕凪ん家にはないかなと思って、
これも持ってきた。」

そう言って、瀬崎さんが取り出したのは、丁寧に緩衝材で包まれたシャンパングラス。

「ふふっ
正解!
一人暮らしの家にそんな物必要ないもん。」

私はそれを受け取ると、キッチンで洗い直した。


瀬崎さんが、テーブルセッティングを終えると、2人で向かい合わせに席に着く。

「夕凪、クリスマスにはちょっと早いけど、
乾杯!」

瀬崎さんに注いでもらったシャンパングラスを掲げて乾杯をする。

「ん、おいしい!!」

香りがふわっと鼻から抜けて、ほんのり甘みも感じられて、とても飲みやすい。

「こんなにおいしいと飲みすぎちゃいそう。」

私が言うと、

「いいよ。
ここは、夕凪ん家なんだから、うっかり
寝ちゃっても、管を巻いても大丈夫だよ。」

と瀬崎さんは笑ってくれた。

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