家庭訪問は恋の始まり
1年生の前を通ると、何人かの女の子が泣いてくれていた。

それを見た途端、せっかく今まで我慢してたのに、一気に涙が溢れ出した。

私は、一人一人とハイタッチをし、握手をし、通り過ぎていく。

だけど、そんな時、みんなから一歩下がったところからこちらを眺める真央ちゃんを見つけた。

自閉症の真央ちゃんは、こういう時、自分から前には出てこれない。

私は、「ちょっとごめんね」と人垣をかき分けて、後ろの真央ちゃんのところへ行く。

「真央さん、またね。」

私はそう言って、真央ちゃんの手を取った。

真央ちゃんは、困ったように視線を彷徨わせながらも、こくんと頷いてくれた。

私は、また花道に戻り、みんなと触れ合っていく。

すると、私の後ろを1年生がついてきてしまう。

私の後ろにもまだ1人先生がいらっしゃるのに。

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