仮面夫婦～御曹司は愛しい妻を溺愛したい～
(ただ単に私が気にいらないだけ？)

なんとなく合わないとか生理的に無理という相手は、残念ながらいる。

それが一希にとって美琴で、顔を合わせるのも嫌なのだろうか。

あれこれ考えていると、既に朝食を終えた一希の視線を感じた。
顔を上げ目が合った途端に言われる。

「まだか？」

テーブルに着いて初めての言葉がこれ。

「……もう終わるわ」

がっかりしながら返事をした。





ホテルのエントランスには、迎えのリムジンが待機していた。

(これ、誰が手配したの？)

これから向かう新居は、閑静な高級住宅街にある。

千坪近くあると言う土地に、和風二階建ての母屋が建っている。敷地内の一角に新しく建てられた離れが新居だ。

敷地内同居だけれど、離れには生活に必要なものが十分すぎる程贅沢に揃っており、母屋には一切近寄らずに生活が出来るようになっていた。

離れには車寄せもあるからリムジンで帰っても問題はないのだけれど、ホテルからはニ十分とかからない。

(絶対、無駄よね)

車内の広々したソファーも、用意されたドリンクも楽しむ間に新居についてしまう。

結局会話もないまま新居に到着した。


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