仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
書斎に入れないのは想定していなかった。
(一希が家の中で鍵を使っているなんて思わなかった……)
一希と千夜子を警戒しているはずなのに、鍵について思いつかないなんて。
(私って本当に考えが甘い)
実家では部屋に鍵をかける習慣が全く無かった為、思いつかなかったのだけれど、閉ざされた扉は一希の心のようだと思った。
今更また傷ついている自分の弱さに溜息が漏れそうになる。
憂鬱な気持ちを振り払い、次は寝室に向かった。
納戸部屋に移動してから立ち寄っていない。千夜子の姿を思い出して気分が悪くなりそうだったからだ。
未だに嫌悪感は拭えないまま扉を開く。
こちらはすんなりと開き、美琴は久しぶりの寝室に足を踏み入れた。
「……汚い」
部屋に入った途端、そう呟いていた。
ベッドメイクはされておらず、クローゼットは開いたまま。脱いだシャツがベッド脇のテーブルに放り投げてある。
換気をしていないのか、埃っぽい気がした。
美琴が掃除をしなくても、一希が完璧に部屋を整えているだろうと思ったから意外だった。
「清潔好きだと思っていたけど」
乱雑な印象の部屋の中で、唯一すっきりしているのは使われていない美琴のベッドだけだった。
(一希が家の中で鍵を使っているなんて思わなかった……)
一希と千夜子を警戒しているはずなのに、鍵について思いつかないなんて。
(私って本当に考えが甘い)
実家では部屋に鍵をかける習慣が全く無かった為、思いつかなかったのだけれど、閉ざされた扉は一希の心のようだと思った。
今更また傷ついている自分の弱さに溜息が漏れそうになる。
憂鬱な気持ちを振り払い、次は寝室に向かった。
納戸部屋に移動してから立ち寄っていない。千夜子の姿を思い出して気分が悪くなりそうだったからだ。
未だに嫌悪感は拭えないまま扉を開く。
こちらはすんなりと開き、美琴は久しぶりの寝室に足を踏み入れた。
「……汚い」
部屋に入った途端、そう呟いていた。
ベッドメイクはされておらず、クローゼットは開いたまま。脱いだシャツがベッド脇のテーブルに放り投げてある。
換気をしていないのか、埃っぽい気がした。
美琴が掃除をしなくても、一希が完璧に部屋を整えているだろうと思ったから意外だった。
「清潔好きだと思っていたけど」
乱雑な印象の部屋の中で、唯一すっきりしているのは使われていない美琴のベッドだけだった。