仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
新年早々、母屋には神楽家の親族が大勢集まっていた。
結婚式も含め数回顔を合わせたことはあるとはいえ、美琴にとっては馴染みの薄い人たちだ。
そんな中でも、夫の一希を頼りには出来ない。
顔には出さないながらも居心地の悪さを感じている美琴に一番気を遣ってくれるのは、神楽家の現当主である義父神楽朗で、反対に最も素っ気ないのが、義母の寛子だった。
義母は、五十歳を超えているはずだけれど、その年齢を感じさせない艶麗な女性だ。小柄ながら強い存在感を放っている。
義父と別宅をしている為、普段は顔を合すことがない。美琴にとっては親族と同じような感覚の相手だ。
けれど、結婚式前の挨拶の時から、疎まれているのは感じていた。
いつだって美琴の存在を無視するのだ。
一希と並んでいても、一希にしか話しかけない。美琴から挨拶をしても小さく頷くか、聞こえないふり。
とくに被害がある訳ではないが、そんな態度を取られては美琴から親しくする気持ちは起きなかった。
親族が集まると言っても一般的な家庭のように、主婦が忙しく動き回るということはない。
手伝いのスタッフが何人もいるので、義母も美琴も手が空いている。
それでも美琴は挨拶が終わった後は手持無沙汰だったので、やり過ぎない程度にお酒や料理を運ぶ手伝いをしていた。
気疲れする部屋から、ひと時でも出たい気持ちも有った。
人気のない廊下でほっと一息ついていると、「美琴さん」と声をかけられた。