仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
しばらくしてから皆が集う部屋に戻り、一希の隣の席に着いた。
たまたまなのか、周囲に人は居なかった。
一希はちらりと美琴を見ながらも、声をかけては来ない。
賑やかな部屋の中で、一希と美琴の周りだけ会話がない。
無言のまま過ごしていると、義父がやって来て空いていた美琴の隣の席に座った。
「美琴さん、楽しんでるか?」
「はい、お気遣いありがとうございます」
「全然飲んでいないじゃないか……一希、美琴さんの飲み物がないぞ」
義父が厳しい口調で言うと、一希は手伝いのスタッフにスマートな仕草で合図を送った。
「美琴さん、気の利かない息子で申し訳ない」
「いえ、そんなことはありません」
(一希は気付かない訳じゃなくて、私に関わる気がないだけだから)
義母と違い、義父は夫婦間の問題に気付いていないのだろうか。
ふとそんな考えが頭を過ったのと同時に、義父の不満そうな声が耳に届いた。
「一希、今年こそあの秘書の配置換えをしなさい、分かったな」
心臓がどきりと脈打った。
(あの秘書って、観原千夜子?)
顔を動かさないように、横目で一希の様子を確認してみる。
彼は、まるで美琴と言い争うときのような怒りを宿した目をして、義父を睨んでいた。
たまたまなのか、周囲に人は居なかった。
一希はちらりと美琴を見ながらも、声をかけては来ない。
賑やかな部屋の中で、一希と美琴の周りだけ会話がない。
無言のまま過ごしていると、義父がやって来て空いていた美琴の隣の席に座った。
「美琴さん、楽しんでるか?」
「はい、お気遣いありがとうございます」
「全然飲んでいないじゃないか……一希、美琴さんの飲み物がないぞ」
義父が厳しい口調で言うと、一希は手伝いのスタッフにスマートな仕草で合図を送った。
「美琴さん、気の利かない息子で申し訳ない」
「いえ、そんなことはありません」
(一希は気付かない訳じゃなくて、私に関わる気がないだけだから)
義母と違い、義父は夫婦間の問題に気付いていないのだろうか。
ふとそんな考えが頭を過ったのと同時に、義父の不満そうな声が耳に届いた。
「一希、今年こそあの秘書の配置換えをしなさい、分かったな」
心臓がどきりと脈打った。
(あの秘書って、観原千夜子?)
顔を動かさないように、横目で一希の様子を確認してみる。
彼は、まるで美琴と言い争うときのような怒りを宿した目をして、義父を睨んでいた。