仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「その件については口出ししないで欲しいと、何度も伝えたはずですが」
「お前が何の改善策も取らないからだろう。これ以上放置しておいては、他の社員の不満が溜まる一方だ。引退した私の元に苦情が届いているんだぞ?」
一希は何か言いかけて、思い直したように口を閉ざす。
「寛子の親友の娘だと言うから大目に見て来たが、聞けば前の勤め先の商社で問題を起こしたそうじゃないか。退職に追い込まれたところをお前が引き取ったそうだな」
「……違う」
「表向き引き抜きの扱いにしているそうだが、調べればすぐ分かる。いいか、彼女とは距離を置け。お前は大勢の社員に対して責任のある立場であり、また美琴さんの夫だ。頭を冷やして考えろ」
周囲の目が有るからか、義父の声は抑えたものだった。けれど、一希に対する不満がありありと現われていた。
一希も義父に対して、怒りを向けていたけれど、反論はしなかった。
気まずい空気が漂う中、義父は表情を和らげ美琴に、笑顔を向けて来た。
「美琴さん、変なところを見せてすまないね」
「い、いえ……」
「久我山家にはいつ挨拶に行くんだ?」
「三日の日に行く予定です」
「そうか。俊三さんによろしく伝えてくれ。近い内に挨拶に伺うと」
美琴は「はい」と頷く。一希は依然として不服そうな表情で、義父を見つめていた。
「お前が何の改善策も取らないからだろう。これ以上放置しておいては、他の社員の不満が溜まる一方だ。引退した私の元に苦情が届いているんだぞ?」
一希は何か言いかけて、思い直したように口を閉ざす。
「寛子の親友の娘だと言うから大目に見て来たが、聞けば前の勤め先の商社で問題を起こしたそうじゃないか。退職に追い込まれたところをお前が引き取ったそうだな」
「……違う」
「表向き引き抜きの扱いにしているそうだが、調べればすぐ分かる。いいか、彼女とは距離を置け。お前は大勢の社員に対して責任のある立場であり、また美琴さんの夫だ。頭を冷やして考えろ」
周囲の目が有るからか、義父の声は抑えたものだった。けれど、一希に対する不満がありありと現われていた。
一希も義父に対して、怒りを向けていたけれど、反論はしなかった。
気まずい空気が漂う中、義父は表情を和らげ美琴に、笑顔を向けて来た。
「美琴さん、変なところを見せてすまないね」
「い、いえ……」
「久我山家にはいつ挨拶に行くんだ?」
「三日の日に行く予定です」
「そうか。俊三さんによろしく伝えてくれ。近い内に挨拶に伺うと」
美琴は「はい」と頷く。一希は依然として不服そうな表情で、義父を見つめていた。