仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
昼過ぎに母屋から離れの自宅に戻ってからも、一希の機嫌は良くならなかった。

義父と義母の話は美琴にとっても衝撃的で、一希に聞きたいことは山のように有ったけれど、話しかけられる雰囲気ではなかったので諦め、自室に引き上げた

外出用のワンピースから、リラックス出来る部屋着に着替えると、ベッドにごろりと横になった。

(離婚か……)

義母は離婚に応じれば、それなりの保証はすると言っていた。

離婚届けと引き換えに、現金を渡すと言う意味だろう。

侮辱されたと感じたけれど、よく考えれば美琴にとってもその方が都合が良いかもしれない。

傷つくばかりの一希との夫婦関係を解消出来ないのは、弟達を援助したいから。

義母が言っていた通り、お金なのだ。

この先祖父の援助が無くなったとしても、弟達が普通の生活を送れるくらいの保証が得られるならば、離婚に応じるべきか……一希と千夜子がその後結婚したとしても、ふたりと無関係になれば心が騒めくこともないだろう。

頭ではそう考えているのに、なんだか胸がもやもやとする。

直ぐに一希と離婚すると決断ができないのだ。

一希にとっても、義母にとっても、自分は望まれていない妻だと、嫌になる程分ったのに。

(……でも、お義父さんは、観原千夜子を会社から排除したがっていた)

義母と義父の意向は真逆だ。そして一希は義母寄り。

どうしてなのだろう。義両親は別居しているから仲が良いとは思っていなかったけれど、想像以上に対立しているのだろうか。
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