仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
思いもしなかった事態だった。
「どうして?……何の用で?」
「美琴に用があった様だが、外出中だと言うと俺に用件を話し始めた」
「……家の電話にかけて来たの?」
「そうだ」
短い返事を聞くと、強い不快感が襲ってきた。
恵美子には何かあった時用に、自宅の電話番号を知らせていた。けれどそれは緊急時のもので、普段は携帯電話に連絡する約束になっていた。
(今日、恵美子さんからの着信はなかった……どうして家にかけたの? それに一希に何を言ったの?)
「……継母はなんて?」
聞くのが怖かった。でも知らないままではいられない。
「美琴が経済的に困っているから何とかして欲しいと頼まれた」
一希は値踏みするような目で美琴を見つめる。
一瞬、目の前がグラリと揺らいだ気がした。
すぐに声の出ない美琴に、一希は更に言い募る。
「美琴には必要経費として十分な金額を渡している。それなのになぜ困っているんだ?」
「それは……」
本当の理由を一希には絶対に言いたくない。
けれど、下手な言い訳はきっと通用しない。
(弱みを握られてしまったみたい)
圧倒的に不利な立場になった気がして、美琴は一希からとうとう目を逸らしてしまった。
「どうして?……何の用で?」
「美琴に用があった様だが、外出中だと言うと俺に用件を話し始めた」
「……家の電話にかけて来たの?」
「そうだ」
短い返事を聞くと、強い不快感が襲ってきた。
恵美子には何かあった時用に、自宅の電話番号を知らせていた。けれどそれは緊急時のもので、普段は携帯電話に連絡する約束になっていた。
(今日、恵美子さんからの着信はなかった……どうして家にかけたの? それに一希に何を言ったの?)
「……継母はなんて?」
聞くのが怖かった。でも知らないままではいられない。
「美琴が経済的に困っているから何とかして欲しいと頼まれた」
一希は値踏みするような目で美琴を見つめる。
一瞬、目の前がグラリと揺らいだ気がした。
すぐに声の出ない美琴に、一希は更に言い募る。
「美琴には必要経費として十分な金額を渡している。それなのになぜ困っているんだ?」
「それは……」
本当の理由を一希には絶対に言いたくない。
けれど、下手な言い訳はきっと通用しない。
(弱みを握られてしまったみたい)
圧倒的に不利な立場になった気がして、美琴は一希からとうとう目を逸らしてしまった。