仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「どうしてそこまで拘るのか分からない。私の服装が気になるって言うなら新しい服を揃えると約束するわ、それでいいでしょう?」

「俺はその場しのぎの解決をしたいわけじゃない」

「……そこまで先を考えなくてもいいんじゃない? だってそう遠くない未来に離婚するかもしれないでしょう」

美琴の言葉に、一希が意外そうな表情を浮かべる。

「離婚はしないとお互い同意したはずだろう」

「あの時は離婚できないと思ったけど、状況の変化とともに考えも変わってきているの。一希の家族も私との離婚を望んでいるみたいだしもう一度離婚について検討した方がいいと思うわ」

「俺の家族? どういう意味だ」

一希が、怪訝そうな顔になる。

「お正月に本家に挨拶に行ったときにお義母様に一希と離婚して欲しいと言われたわ。結婚を考えていた相手が居たそうね、お義母様も賛成していた相手だったから今からでも軌道修正して欲しいって……相手は観原千夜子よね?」

「母がそんな話を? なぜ直ぐに俺に言わない?」

一希は苛立ったように美琴を睨んで来たが、義母の意向は全く知らなかったのか動揺しているように見えた。
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