仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
お互い言葉がなくなり沈黙が訪れる。
一希と美琴の間はいつだって沈黙か、そうでなければいがみ合っているかだ。
沈黙のあとはお互い離れるだけ。あまりに寂しい関係でとても夫婦とは思えない。
初めはそんな冷え切った距離を縮めたいと願い、傷つきながらも近づこうとしていたけれど、今の美琴にはもうそんな気持ちは残っていない。
「話は終わりみたいだし私は部屋に戻ります。一希に恥をかかせないよう服は用意するので」
椅子から立ち上がり納戸部屋へ向かおうとすると、一希も立ち上がり美琴の前に回り込んで来た。
「な、なに?」
急に近くなった距離に動揺する。
「葉月慧には話しているのか?」
低い声で問われ、美琴はびくりと肩を震わせた。
「話って、実家のこと?」
「俺との離婚の件もだ」
「……友達だから相談はするけど、でもなんでも話している訳じゃないわ。神楽家の恥になるような話はしていないから安心して」
そう答えると一希が舌打ちをした。
彼のそんな荒々しい態度を見るのは初めてだ。
一希と美琴の間はいつだって沈黙か、そうでなければいがみ合っているかだ。
沈黙のあとはお互い離れるだけ。あまりに寂しい関係でとても夫婦とは思えない。
初めはそんな冷え切った距離を縮めたいと願い、傷つきながらも近づこうとしていたけれど、今の美琴にはもうそんな気持ちは残っていない。
「話は終わりみたいだし私は部屋に戻ります。一希に恥をかかせないよう服は用意するので」
椅子から立ち上がり納戸部屋へ向かおうとすると、一希も立ち上がり美琴の前に回り込んで来た。
「な、なに?」
急に近くなった距離に動揺する。
「葉月慧には話しているのか?」
低い声で問われ、美琴はびくりと肩を震わせた。
「話って、実家のこと?」
「俺との離婚の件もだ」
「……友達だから相談はするけど、でもなんでも話している訳じゃないわ。神楽家の恥になるような話はしていないから安心して」
そう答えると一希が舌打ちをした。
彼のそんな荒々しい態度を見るのは初めてだ。