仮面夫婦～御曹司は愛しい妻を溺愛したい～
「今後、葉月慧と会うのは止めろ」

「どうして友達と会うのを制限されないといけないの？　神楽家のことは話してないって言ってるでしょう？」

「だが鈴本家の話はしているのだろう？　友人に相談するより夫婦で話し合う方が先だと思わないのか？」

思いがけないその言葉に、美琴は目を瞠った。

「思うはずない！　だって私たちは普通の夫婦じゃない、一希には一番守りたい観原千夜子がいるんだから……私、一希の口からその言葉を聞いたとき決心したの。今後一希に心を開くことはないって。そんな相手と話し合いたいなんて思わない、当然相談もしたくない。私達は他人より遠い関係で離婚しないのはお互いその方が都合がいいだけでしょう？」

美琴はお金と弟達の生活の為に、一希は祖父に何らかの弱みを握られているから。
打算で繋がった夫婦なのだ。

顔色の悪い一希に、美琴は言葉を続ける。

「私結婚をすると決心したとき相手は誰でもいいと思った。でも今は一希と結婚したことを後悔している。他の誰でも良くても一希とだけは無理だわ……離婚してください」

まだ問題は山積みで感情のまま動いてはいけないと、理性では分かっている。

それなのに一希を目の前にしていると我慢が出来なかった。



< 174 / 341 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop